Davies, D. 2007. Telling Pictures: The Place of Narrative in Late Modern ‘Visual Art’. in Philosophy and Conceptual Art, eds. P. Goldie & E. Schellekens, 138-156. Oxford University Press. 今回は以前取り上げた論文集『Philosophy and Conceptu…
今年の一月に修士論文を提出したので、それについて書きます。 (どこで読めるかは下の方に書いてあります。) 主題はタイトルにあるとおり、「画像における情動表出」です。 画像は目に見える事物、富士山やアスパラガスなどを描写(depict)できるほか、目…
先日開催された描写の哲学研究会で行った発表のスライドになります。 視覚的修辞という現象を浮かび上がらせ、定式化する内容です。 スライドだけではわかりにくい点も多々あるかと思いますが、記録として。 文章化の予定があるので、そこで枠組みを修正した…
Laios, K., M. Moschos and G. Androutsos. (2017). “Human Anatomy in the Paintings of Dominicos Theotokopoulos”. Italian Journal of Anatomy and Embryology 122: 1–7. El Greco, Saint Jerome as Scholar, ca. 1610. 今回はマニエリスムの画家エル・…
コンセプチュアル・アートという芸術運動、もしくは芸術のカテゴリーがある。 アートワードでは、「アイデアやコンセプトを作品の中心的な構成要素とする動向」だと説明されている。 その事例としてよく挙げられるのは、ジョセフ・コスースの『一つと三つの…
C. Abell, P. Atencia-Linares, D. Lopes, D. Costello. 2018. “The New Theory of Photography: Critical Examination and Responses.” Aisthesis 11(2): 207-234. 前回:写真のニュー・セオリー:批判的吟味と応答(その1) - #EBF6F7 『ベティ』のような…
C. Abell, P. Atencia-Linares, D. Lopes, D. Costello. 2018. “The New Theory of Photography: Critical Examination and Responses.” Aisthesis 11(2): 207-234. 近年、写真の哲学では大変動が起きているらしい。 写真の本性に関する従来の見解を覆す「ニ…
キャラクター研究が盛り上がるなか、あまり注目されていない一つの問題がある。試論ではあるが、それを取り上げてみたい*1。 二つのキャラクター概念 二つのミニマルなキャラクター概念から始めよう。 第一に、キャラクターとは物語の登場人物である。 『オ…
Nanay, B. 2009. “Narrative Picture.” Journal of Aesthetics and Art Criticism 67(1): 119–129. 「物語」という語を聞いて、われわれがまず思い浮かべるのは文学作品だろう。しかし、言語を用いない物語もある。物語画、より一般には物語的画像*1がそうだ…
先日の発表のスライドになります。 以下ちょっとした解説です。 情動表出と情動喚起 当日は情動喚起について一切触れなかったが、それが災いしてか、情動表出と情動喚起を混同している意見が聞かれた。しかし、この二つはまったく異なる現象だ。 情動喚起:…
Abell, C. 2010. “The Epistemic Value of Photographs.” In Philosophical Perspectives on Depiction, eds. C. Abell and K. Bantinaki, 81-103. Oxford University Press. 写真は非写真的画像(絵画や素描など)と比べて特別な認識的価値をもつように思わ…
Robinson, J. 2017. “The Missing Person Found. Part I: Expressing Emotions in Pictures.” The British Journal of Aesthetics 57(3): 249–267. 画像は目に見えるものだけでなく、目に見えないものも表すことができる。その注目すべき一例は情動(emotion…
Lopes, D. 2013. “Painting.” In The Routledge Companion to Aesthetics, eds. B. Gaut and D. Lopes, 596-605. 3rd Edition. Routledge. 前回:ドミニク・ロペス「絵画」その1 - #EBF6F7 The Routledge Companion to Aesthetics (Routledge Philosophy Com…
Lopes, D. 2013. “Painting.” In The Routledge Companion to Aesthetics, eds. B. Gaut and D. Lopes, 596-605. 3rd Edition. Routledge. ウェブ上に掲載されている数多の読書ノートには助かっているので、自分でも書いてみることにした。かっちりしたもの…
Ed Ruscha and the Great American West 作者: Karin Breuer,Kerry Brougher,D. J. Waldie 出版社/メーカー: Univ of California Pr 発売日: 2016/07/12 メディア: ハードカバー この商品を含むブログを見る ガソリンスタンドや言葉を描いた絵画で知られるEd…
ジェフ・クーンズの近作が不評らしい。しかし、クーンズのキャリアをキッチュという点から考えるとき、その近作のひとつ「ゲイジング・ボール」シリーズはきわめて意義深いものに思われる。そこで、このシリーズについて少しばかり考察してみたい。 2013年を…
2015年6月、新宿眼科画廊にてTYM344氏の個展「サブスタンス」が行われた。新作が所狭しと展示された華やかな展覧会であったが、ここではとりわけ一点の小品《対マレーヴィチ:音》について記したい。 マレーヴィチ作《黒の正方形》は作家が頻繁に引用するモ…